TU-879S改造記

ELEKIT『TU-879S』の改造記その1

 TU-879の豊かな中域には十分満足していましたが、出力トランスの影響で細くなってしまっ
た低域をほんの少しでも豊かにする事はできないか?
まずは、Webの受け売りどおりに改造を施しました。C1・C2・C5・C6の各段間カップリングコン
デンサーを東一オイルペーパー(通称ビタミンQ)に交換しました。カップリングコンデンサーで
音作りをする事は最も容易な方法です。


 実は、このページを作成したのは、既に実機が解体された後の為、実装時の写真は残って
いません。この後しばらくはイメージ映像になりますが、ご勘弁ください。
 ペーパーの材質が変わった為、旧タイプの物と区別をする為に形状が変わっています。材料
の入手が困難になり、代替のペーパーを使用する様になったとの事です。残念ながら、0.1μF
の旧タイプ製品は手に入りませんでした。今でも、少しお金を出せば、旧タイプのビタミンQも手
に入れることができます。

 確かに、低域が膨らんだように感じます。エージングが十分ではなかった可能性があります
が、満足なのですが膨らんだ低域に曇りがあるように感じます。この後、経験を積むほどに分
かってきたのですが、それぞれ個人ごとの主観になる為、この先は皆様もご参考程度にお聞
きください。

 つづいて、同時に購入した中国製EL34の正常動作に挑戦しました。C13デカップリングコン
デンサーとC15平滑コンデンサーの容量不足を想定して、120μF/400V電解コンデンサー(日
本ケミカルKMG)をパラレルに導入して220μFとしました。若松通商で1本262円で購入しまし
た。これは絶版のコンデンサーなのですが、外径が小さい為に基板部品面に寝かせる事で取
り付けることができました。元々付属していた松下の低ESR品は外形の関係でパターン面に実
装するように設計されているのです。



 今までドライブし切れなかったEL34が違和感なく試聴できるようになりました。デカップリング
回路は、信号経路であると共に電流の変化が他の増幅段の電源電圧を変化させる事によっ
て起きる低域の結合を防ぐのが目的です。各段ごとに確実な定電圧直流電源として構成する
ことにより、電圧変動率をおさえられたのが結果につながったのではと思います。平滑コンデ
ンサーについても、リップルの減少と共に増幅段のエネルギー供給源であることを考えると、
十分に大きな値をとる事が必要です。

 真空管によって随分と音が変わるようです。低域と高域がせり出した様に感じます。いわゆ
るズンシャリサウンドに近くなりました。参考にはなったのですが、長く聞くと疲れます。もう少し
聞きやすい物は無いものかとWebサーフィンをしていると、「Philips7581A」というキーワードに
あたりました。いわゆる、軍用管番号というもので、民生品の6L6系にあたります。米国版のKT
-66にあたります。定格は、ロシアや中国製のレプリカ管が多く存在する6L6GCよりも少し大き
めでプレート損失35Wです。

 早速、購入して試聴をしてみる事にしました。同時に、Toshibaの12AX7A(これが在庫の最後
の1本でディスプレイ用に保管されているものでした。)と、松下の12AX7Tも購入しました。
12AX7Aは、12AX7の高信頼管です。
型番の後の『A』・・・高信頼管
型番の後の『W』・・・耐振動管
をあらわしています。

 非常に満足する音色に変わりました。中域が豊かになり、非常に『上品な音』です。その後し
ばらく私の定番管になりました。その後も色々と試してみたのですが、米国のビンテージ管の
実力には驚くばかりです。近日中に、所有6L6系真空管の試聴録を残そうと思っていますの
で、ご期待ください。また、初段も東芝の球にかわり、落ち着いた音に変身しました。中国管の
際に気になったシャリシャリ感が消えて、肩が凝らなくなりました。好きな音楽を長時間聴くた
めには重要な要素です。

トップへ
トップへ
戻る
戻る